
日々臨床に取り組む中でどうしても目に付くものがあります。それはクライアントの方が持つ症状です。そもそもカイロプラクティックに行こうと決心する99%の理由は何らかの症状があるからです。それは肩こりから神経痛から内臓疾患まで多岐にわたります。
僕は教科書の知識からではなく、自分の経験から”症状は非常に曖昧なものである”と断言できます。カイロプラクターとして、多くの人が症状に振り回されている現状に非常に違和感を覚えます。それは現代医学が植え付けてきた「症状が無い=健康」という構図が強く根付いていることに原因があると考えられます。
つい昨日、カフェで隣に座ったたぶん20代前半の女性とランニングシューズの事で少し話しました。僕は自分がカイロプラクターであることを告げ、さらに自分の臨床の中で痛み止めを常用している若い人が多いことに驚いていると話すと、「私もいつもadvil(処方箋が無くても買える痛み止め)飲んでるよ、だって毎日走ってるから」とスマイルのおまけ付きで言うではありませんか。何だか悲しくなったと共に危機感を覚えました。
症状が無い=健康
痛みがない=健康
痛みを取る=健康
という図式なのでしょうか。とにかくこれが今だ多くの人の意見なんだろうなと思いました。
体に何か異常があった場合、多くの場合は痛みが症状としてあらわれます。しかし、痛みを感じた時にはすでに状態が深刻になっている場合が殆どです。なぜなら痛みとは体が「気をつけろ」「この場所を動かすな」等と訴えているサインだからです。この痛み自体を抑える事は体からの信号を無視することであり、決して問題の根本的な解決にはなっていません。結局自分の体を治すのは自分の体に本来備わった機能であり、痛み止めの本来の意味は痛みという苦痛から一時的に解放し、その間に無理をせず、体が治るのを待つというプロセスを補助することです。痛み止めを常用することは本来の原因の解決から目を反らしているばかりでなく、症状をどんどん悪化させることに繋がります。事実、痛み止めを飲み続けるとだんだん効かなくなってきます。体がその薬に適応し、痛みの原因が悪化し、さらに体が痛みの信号を強めるという3つの効果のおかげです。
カイロプラクティックのケアによって痛みが和らいだり無くなったりすることは頻繁にありますが、それは痛みを抑えているからではありません。その原因を取り除こうとしているからです。痛みを取り除くこととその原因を取り除くことには非常に大きな違いがあります。よってカイロプラクターが行う分析は姿勢の検査、体の機能的な反応の測定、体表温度の測定、レントゲン等の客観的なデータに基づくものが多く、これは症状を聞くだけでは得られない重要な体のデータを取っていることになります。そしてそれに基づき、適切なアジャストメントを行います。
痛みが改善するまでの時間やケアの回数は人によって違います。つまり一人一人症状の融点が違います。ある人は痛みに弱く、ある人は痛みに非常に強いのです。このように痛みの頻度や強さは人によってまちまちです。 これでもあなたは痛み・症状を基準に自分の健康を判断しますか?
僕はカイロプラクティックのケアを通じてこのことに気づいて貰えた時に本当の喜びを感じます。そして本当に有効なカイロプラクティックケアは定期的な体のチェックであり、症状が出たから行くという現代医学のモデルには全く当てはまらないものであると言えるでしょう。
最後に、カイロプラクティックのケアは特定の症状に対して行うものではありません。体が本来持つ能力を引き出し、快方に向かう補助をするのが目的です。そのプロセスにはクライアントの方自信が健康に目を向け、努力することが欠かせません。病気を治すのではなく、健康を促進するという意味で、カイロプラクティックには非常に大きな役割があると僕は信じています。